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Vstyle編集部（以下、編）　続いてのテーマは「クラブ高額募集馬」です。１頭目は母ウィキッドリーパーフェクト（父ディープインパクト、牡、馬名ハートレー）。サンデーレーシングの募集馬で、募集価格は１億円となっています。

伊吹（以下、伊）　母はアルシバイアディーズＳ（米G1）の勝ち馬で、血統的な価値を考えれば、総額1億円という価格設定も納得できます。ただ、半兄キングリオは現在のところ２戦０勝。しかも勝ち馬とのタイム差はそれぞれ1.4秒と2.2秒なんですよ。うーん、父がディープインパクトに変わるとはいえ、上位で指名するのはちょっとリスキーかもしれませんねぇ。

栗山（以下、栗）　私もほぼ同意見です。そこそこは走ってくれるでしょう。でも、エーピーインディが入ると終いがなまくらになるので、重賞クラスでは厳しいと思います。

白川（以下、白）　ディープインパクトはダート血統との相性は良いんですが、栗山さんがおっしゃるように母父がエーピーインディ系になると、イマイチ感のほうが勝ってしまうんですよね。胴詰まりで体高が高いタイプは成長力に乏しいですし、半兄が芝もダートもダメというところも引っかかります。見送るべきでしょう。

編　この馬に関しては皆さんの意見が一致しましたね。過大評価は禁物。まさにそんなところでしょうか。では、どんどんいきます。次は母シルヴァースカヤ（父ディープインパクト、牡、馬名シルバーステート）です。G1レーシングの募集馬で、募集価格は１億円になります。

栗　ロベルトが近い世代に入る配合馬は疑ってかかったほうがいいですね。ディープの長所である切れ味を消してしまいます。

編　なかなか手厳しいですね。

栗　はい。見送るのが賢明でしょう。

白　私も指名する気はまったくありません。兄姉は評判倒れのケースが多く、ディープを付けた全兄のオリハルコンもパッとしませんでした。ディープにロベルト系はやはり重いです。明らかにディープの良さを削いでしまっています。藤原厩舎もPOG向きではありませんので、下位指名でも不要かと。

編　おお、まさに一刀両断（笑）。

伊　私は逆に積極的に狙っていく予定です。確かに兄姉は期待以上の活躍を見せていないかもしれません。でも、持ち込みの半姉ヴィルジニア（父Galileo）もオリハルコンもPOG期間内に勝ち上がりましたし、半兄SevilleはG1を勝っているので、血統自体のポテンシャルは高いと思っています。栗山さんや白川さんのように厳しい評価を下すプレーヤーがいることでマークが甘くなれば、むしろ好都合。指名しておいて損のない１頭というのが私の結論です。

編　皆さんが同じグループでプレーしていたら、ということを思わず考えてしまいました（笑）。伊吹さん的にはウハウハかなと。いずれにせよ、この馬は勝負の行方を左右する重要な存在になるかもしれませんね。お次は母ナイトマジック（父ディープインパクト、牡、馬名フォイヤーヴェルク）。サンデーレーシングで１億2000万円で募集された１頭です。

栗　ディープにサドラーズウェルズが入る場合は、ミスタープロスペクターとセットであることが成功の条件です。この馬にはそれがありません。ドイツ血統は魅力的なんですが、決め手不足に泣く可能性がありますね。上位指名で是が非でも、というほどではないでしょう。

白　ディープはアメリカのダート血統との相性が良いので、やはりドイツ血統はセオリーから外れてしまいますよね。丸みを帯びたディープらしい体型をしていますが、騙されないようにしないと（笑）。ただ、重賞級かというと怪しいですが、無難に走ってくれるとは思います。４～５番手で取れそうなら、といった感じですかね。

伊　母は2009年ドイツオークス（独G1）の優勝馬ですよね。私は基本的に初仔を指名しないので、この馬も指名候補には入っていません。牝馬を重視する方針ということもあって、現1歳の全妹には興味があるんですけどね……。というか、ドイツオークスってそもそも８月に施行されるレースじゃないですか。その一点だけをもって否定するつもりはありませんが、微妙に間に合わなかったら「ああ、やっぱり……」と若干後悔しそうな気がします。そういう意味でもまずは様子見が無難かなと

編　なるほど～。ドイツ血統という点が鍵を握る１頭になるわけですね。初仔ということもありますし、どちらに転ぶか楽しみです。では、４頭目にまいりましょう。母ヒルダズパッション（父ディープインパクト、牡、馬名ジークカイザー）。キャロットファームで１億2000万円の値が付けられました。

白　これまで悲観的な意見ばかり言ってきましたけど、この馬はかなりの可能性を秘めていると思います。

編　おお！

白　ダート血統にディープという成功配合で、すらっと伸びるディープ産駒らしい体型をしています。つなぎが若干立ち気味に見えますが、このくらいなら許容範囲でしょう。キャロットの主力は角居厩舎か池江厩舎に入りますので、池江厩舎というのは歓迎。もしかしたら、この馬がキャロットにダービーのタイトルをもたらすかもしれません。

栗　いくつか欠点が目に付く配合なので、全力で推奨というわけにはいかないのですが、それ以上に評価すべき点があるのが魅力的ですよね。ハマれば相当な活躍が期待できます。

編　栗山さんも高評価ですね。伊吹さんはいかがですか？

伊　こちらも初仔なので、私のセオリーからすると“様子見”という結論になってしまいます。ただ、この馬の活躍度によっては現１歳の２番仔（父ハーツクライ）の牡馬が絶好の狙い目になりそうなので、いまから楽しみです。

編　わかりました。では、「クラブ高額募集馬」のテーマの残る１頭、母ポルトフィーノ（父ディープインパクト、牡、馬名ポルトフォイユ）をお願いします。サンデーレーシングの募集馬で、募集価格は１億2000万円でした。

栗　配合構成は申し分ありません。全兄のポルトドートウィユも指名しました。馬の今後の成長やデキ次第では、G1も狙っていける逸材でしょう。もちろん、取れるのであれば取っておきたい１頭です。

伊　この馬は某POG本で推奨馬の筆頭格にあげたくらいですし、かなり期待しています。高野友和厩舎はPOG期間中の成績が優秀なので、全兄のポルトドートウィユも高く評価していました。全兄くらい走ってくれればドラフト上位指名馬としても及第点ですし、血統のポテンシャルを考えればそれ以上も十分に期待できますよね。あとはドラフト時の人気がどうかだけ。１位入札で一本釣りできそうな雰囲気なら、積極的に狙っていこうと思っているんですが……。

白　私はちょっと危険かなと思っています。確かに血統、馬主、厩舎と三拍子揃っているんですが、つなぎが立ちすぎているので、マイラー色が強そうな印象を受けるんですよね。ダービーオーナーになりたいのであれば、避けたほうがいい気がします。私は字面以上の活躍は望めないと判断しました。上位指名では別の馬を狙います。

編　この馬はかなり人気を集めそうですので、指名順位が鍵を握りそうですね。では、今度は……（※次回は「セール高額落札馬」５頭の評価をお伝えします）。

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