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Vstyle編集部（以下、編）　３つ目のテーマは「セール高額落札馬」です。早速いきましょう。母アゼリ（父ディープインパクト、牡）からお願いします。セレクトセールの当歳市場で、２億5200万円で落札されました。

伊吹（以下、伊）　私は持ち込みの半姉アメリ（父Distorted Humor）を指名していました。POG期間中に勝ち上がることはできませんでしたが、現在はJRAで３勝をあげていますので、チャレンジとしては悪くなかったと思っています。父がディープインパクトに変わるぶん、この馬はさらにワンランク上の活躍が期待できそうですね。１～２巡目を終えてもまだ残っているようなら狙い目なんじゃないでしょうか。

白川（以下、白）　非常に悩ましい１頭ですねぇ。ダート血統にディープかつ、母がリファールを内包している成功パターンの配合。適度につなぎが寝ている好馬体。走る要素は揃っています。ただ、母が15歳のときの産駒なので、リスクのほうが心配です。指名をするかどうか、けっこう悩んでいます……。

栗山（以下、栗）　決して悪い配合ではなく、走ってもなんら不思議はない馬ですが、芝向きのピリッとしたスピード＆瞬発力があるかどうかとなると、正直微妙なんですよね。そのあたりの確信が持てないので、強気に指名しづらい面があります。

編　皆さんのお話を総合すると、悪くはないが１～２位指名クラスではない、といったところでしょうか。値段に見合った活躍を期待すると、痛い目にあう可能性もあるかもしれませんね。では、今度は母マジックストーム（父ディープインパクト、牡、馬名サトノケンシロウ）にまいりましょう。セレクトセール１歳市場で、２億1600万円の値が付いた１頭です。

栗　全兄にサトノアラジン、全姉にラキシスがいるように、確実に走ってくる好配合馬ですが、完成の遅い血統なのでPOG向きかというと微妙かもしれません。期間がダービーまでではなく、生涯ルールであればまったく扱いは変わってくるんですけどね。

伊　栗山さんご指摘のように、どちらかというと晩成血統なのかなという気もしますが、仮にそれで人気が落ちるようなら狙い目だと思うんですよね。クラシック戦線に間に合うかどうかは巡り合わせによるところも大きいですし、まだ若い繁殖牝馬なので「またPOG期間には間に合わないだろう」と断じてしまうのは早計でしょう。手頃なタイミングまで残っているようなら指名を考えたいです。

白　血統、馬体ともに素晴らしく、人間的な条件も問題ありません。G1に縁のない里見オーナーですが、最近の流れから「そろそろ」という気もしますしね。絶対に１位指名というほどではありませんが、上位指名に値する馬だと思います。

編　奥手の血統ということに目をつぶれば、積極的に指名すべき１頭ということになりそうですね。逆に言うと、マイナス材料はそれくらいということなのかもしれません。この馬も楽しみです。では、セレクトセール当歳市場で２億4150万円で落札された母マルペンサ（父ディープインパクト、牡、馬名サトノダイヤモンド）はいかがでしょうか？

伊　母は現役時代にアルゼンチンのG1を３勝した実績馬。池江厩舎はPOG期間中の１頭あたり賞金が非常に高く、好条件が揃っているのですが……やはり初仔である点が気になりますね。逆に言うとそれくらいしか不安要素は見当たらないんですけど、個人的にはパスの方向で。

白　ディープインパクトにダンジグ系という、ジェンティルドンナと同じパターンの配合。ヘイローのクロスもありますので、瞬発力をさらに増強させている印象です。初仔で体の線が細いことを除けば、マイナスに感じる要素はありません。明らかに上位指名向きの馬でしょう。

栗　白川さんの言うように、好パターンの配合です。母の父はデインヒルと似た構成で、母が持つノーザンダンサー４×４の片方がダンジグを経ています。強いて懸念材料をあげるとすれば、初仔だけに母が繁殖牝馬としてどの程度の器かがわからないという点だけでしょう。

編　初仔であること以外に不安要素はなし。皆さんの見解は一致しました。この馬はかなり良さそうな感じですね。それでは、お次はこの馬。母ラヴズオンリーミー（父ディープインパクト、牡、馬名プロディガルサン）をお願いします。セレクトセール１歳市場で１億9440円で競り落とされました。

伊　初仔のラッドルチェンド（父Danehill Dancer）こそ未勝利に終わってしまいましたが、全兄のラングレーとリアルスティールが活躍していますし、この馬も期待できるんじゃないでしょうか。ただし、リアルスティールがG1で好走した直後なので、人気もかなりのものになりそうですよね。こういう馬の奪い合いを横目に牝馬の大駒をかっさらうのが私のスタイルですので、おそらく指名しないと思います。

栗　配合は申し分なく、全兄のリアルスティールは指名しました。気になるのは馬体重のみ。ディープ産駒は「同性の全きょうだいは大きく出たほうが大物」という法則があるので、大きく出ていれば大物でしょう。

白　競合を覚悟のうえで取りにいきたい１頭ですね。血統に関しては多くを語ることはないでしょう。ラングレーでホップ、リアルスティールでステップ、この馬でジャンプ、という展開になるかもしれません。母が７歳時の産駒というのも理想的。生産牧場、オーナー、厩舎のチームの相性も完璧です。馬体はリアルスティールよりラングレー寄りで、つなぎが長くなったぶん芝でのバネも効くと思います。兄を超える条件はすべて揃いました。当然、１位指名候補です。

編　白川さんはかなり力が入っていますねぇ。伊吹さんも栗山さんも高評価ですし、聞いているだけで大物感が伝わってきました。この馬を取ることができたら、今シーズンのPOGは相当楽しみなものになりますよね。さぁ、それでは本テーマのラスト１頭、セレクトセールの当歳市場で１億9950万円で購買された母リリーオブザヴァレー（父ディープインパクト、牡、馬名ヴァンキッシュラン）にいってみましょう。

栗　「ディープ×Galileo」という日英トップ種牡馬同士の配合で、母の半弟にUAEダービーを圧勝したムブタヒージがいる超良血馬です。母方にはGalileoの重さを緩和する仕掛けもあるので期待できます。面白い１頭だと思いますよ。

白　血統の大家にケンカを売るつもりはありませんが、やはり欧州血統が入る点は不安ですね。初仔という点も気がかりです。絶対にダメというわけではないものの、よくわからない部分が多いので個人的には見送ろうと思っています。

伊　初仔ゆえに私は指名しない方針ですが、もちろんマークはしています。良い馬なのは間違いないので、中位～下位まで残っていれば取りにいくかもしれません。ま、無理でしょうけど（笑）。

編　確かに（笑）。グループの人数にもよるでしょうが、前評判的にも上位で消えるのは確実かと思われます。母系の欧州血統が気にならないという方は、一本釣りという手もあるかもしれませんね。さて、続いては……（※次回【最終回】は「ディープインパクト産駒以外の話題馬・注目馬」５頭の評価をお伝えします）。

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