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Vstyle編集部（以下、編）　続いてがラストのテーマ「ディープインパクト産駒以外の話題馬・注目馬」になります。これまではディープインパクト産駒ばかりを取り上げてきました。ドラフトで人気を集めることが確実視されている馬を中心にカバーしてきましたので、それは仕方のないことなんですが、競馬はディープ産駒だけで行われるわけではありませんからね。ほかにも有力候補はたくさんいますので、そちらにも目を向けてみたいと思います。１頭目は母シーザリオ（父キングカメハメハ、牡、馬名リオンディーズ）。エピファネイアの下で、キャロットファームで１億2000万円の募集価格が設定されました。

伊吹（以下、伊）　半姉のロザリンドが未勝利のまま引退、半兄のクローディオも現在のところ未勝利なんですよね。私は安定感のあるタイプが好きなので、さほど魅力を感じていません。キングカメハメハ産駒はいろいろとリストアップしていますが、この馬でなくてもいいかな、という印象です。

栗山（以下、栗）　ヌレイエフとサドラーズウェルズの４分の３同血クロスは、キンカメ産駒の場合はダートまたは道悪向きに出るのでイマイチなんですよ。ただ、母がシーザリオなので底力でなんとかしてしまうかもしれませんが……。

白川（以下、白）　私も積極的には狙いたくない１頭ですね。兄姉はエピファネイア以外さっぱりで、体質の弱い仔が多い点もマイナス要素だと思います。500キロを超える大型馬にもかかわらず線は細めで、トモのつくりも弱々しいです。ひと言、キンカメの良さが出ていません。つなぎも立ち気味ですし、ダートの中距離で勝ち上がれれば、といったところでしょうか。

編　エピファネイアの下でキンカメ×シーザリオとくれば、ホイホイ指名したくなりそうなものですが、皆さんはけっこう厳しめに見ているんですね。勉強になります。では、続いて母オリエンタルアート（父ステイゴールド、牝、馬名エストソルシエール）にいきましょう。言わずと知れたオルフェーヴルの全妹です。

白　私は全力で切ります。母が高齢、血統的にも厩舎的にも牝馬はイマイチ、馬体は短距離のダート向きの印象と、マイナス要素が揃いすぎていますからね。G1レーシングというのも微妙ですし、評価できるポイントをあげるほうが難しいくらいです。指名してもリスクしかないと思います。

編　おお、そこまで言い切りますか～。

伊　私も指名しません。ステイゴールド産駒って、POG期間中の１頭あたり賞金や勝ち馬率がかなり低いんですよ。引き合いに出してしまって申し訳ないですが、スズカマンボとか、チチカステナンゴとか、バゴとか、そのあたりのPOGではあまり人気にならない種牡馬と同じくらいの水準なんです。実際、私はまだ一度もステイゴールド産駒を指名したことがありません。もちろん、この馬は全きょうだいがみんな走っているわけで、他のステイゴールド産駒よりは期待できると思いますが、それでも食指は動きませんね。

編　うわ、伊吹さんも評価が低い。

栗　同じく、私も見送りです。「ステイゴールド×メジロマックイーン」はいまのところ牡馬しか大物が出ていません。牝馬は気性面の懸念があるので、指名するのは危険すぎます。

編　話を聞いていて、かなりの確率で走らないという気がしてきました（笑）。競馬に絶対はありませんが、過大評価禁物という点は間違いなさそうです。活躍馬の下を指名していればいいというわけではないことを、改めて認識させられますね。さて、今度は３頭目の母ヒストリックスター（父ステイゴールド、牝、馬名リュラ）をお願いします。こちらはハープスターの下ですね。

伊　こちらもステイゴールド産駒なので個人的には検討の対象外です。ハープスターと同じレベルの期待をかけるのは酷でしょう。ただ、ポテンシャルの高い血統であることは確かなので、もし中位くらいまで残っていたら取りにいくべきなのかも。

栗　配合的にはなんら問題なく、いかにも走りそうな雰囲気を漂わせています。しかしやっぱり、懸念されるのは気性なんですよ。ステイゴールド牝馬はこの点ですべてを台無しにしてしまう危険性があるので、指名する場合はそういったリスクを覚悟しておいたほうがいいでしょう。

白　私もほぼ同じ考え方ですね。いわゆる「危険な人気馬」にあたるんじゃないかと。血統、馬体、厩舎など、トータルでは悪くはないんですよ。でも、ハープスターに比べるとトモが弱そうですし、スケールの小さい印象は否めません。来年に定年を迎える厩舎にもかかわらず、秋のデビュー目標と慎重になっている点も気になります。伊吹さんの言うように、中位以下で取れるのなら、といったところですかね。

編　皆さん、ステイゴールド産駒の扱い方に関しては、確固たる方針をお持ちのようですね。続いては、ダイワメジャー産駒の母ターフローズ（父ダイワメジャー、牡、馬名スターオブペルシャ）にまいります。こちらはロサギガンティアの半弟です。

栗　G1を獲るような大物感はありませんが、堅実なスピードを武器にしっかり稼いでくれそうなタイプです。確実性がありそうで、G3ぐらいなら十分に狙えるでしょう。POG的にはいい馬だと思いますよ。

伊　初仔を指名しない方針の私ですが、ロサギガンティアは例外的に指名していました。当然ながら、２番仔のこの馬にもかなり期待しています。ダイワメジャー産駒はPOG期間中の１頭あたり賞金や勝ち馬率が高いですしね。早期デビュー予定ということもあって人気が沸騰しそうな点は気になりますが、ドラフト２～３巡目で取れるようなら……。

白　ぶっちゃけ、取れるのであれば取りたい１頭ですね。NHKマイルＣ制覇を狙うにはもってこいのタイプでしょう。ダイワメジャーはクラシック向きではない反面、1800ｍ以下では安定していますし、この馬もマイル以下がベストという体型をしています。社台×藤沢和ラインの相性はバッチリ。調教過程が順調な点もプラスです。ロサギガンティアを上回る活躍をしてくれる可能性はおおいにあると思います。

編　なるほど。クラシックを取れれば最高ですが、それ以外のレースでいかに稼げるかどうかもPOGでは重要になってきますからね。堅実派にとっては重宝できる存在になりそうです。それでは、本企画のラスト１頭にいきましょう。母レーヴディソール（父ハービンジャー、牡、馬名アラバスター）。阪神JFやチューリップ賞を制した良血牝馬の初仔になります。

伊　ハービンジャーは初年度産駒から１頭あたり賞金、勝ち馬率とも優秀な数字をマークしています。この調子をキープしていれば、そのうちG1戦線で活躍する馬も出てくるでしょう。あとは初仔である点がどうかだけですね。優秀な母系ですので、マイセオリーを曲げてでも取る価値はありそうです。上位で消えずに残っていたら指名を考えます。

白　競走馬よりも繁殖馬として楽しみな１頭ですね。まだ全体的にひ弱に見えますが、このあと成長していってくれるでしょう。伊吹さんと同じく、下位で指名できるなら押さえておきたいところです。

栗　父は硬さがあり、瞬発力も足りないので、柔らかい瞬発力型だった母は配合相手として好ましいでしょう。脚元が丈夫で終いがしっかりしていれば、かなりやれるとみています。

編　ありがとうございます。貴重なご意見や情報を提供していただき、大変参考になりました。このコラムをご覧になられている方は、ドラフトの戦略が立てやすくなったことは間違いないでしょうね。2015‐2016シーズンのPOGでボロ勝ちできるように、しっかり臨んでいただきたいと思います。改めまして、栗山さん、伊吹さん、白川さん、本日はどうもありがとうございました！

一同　こちらこそ、ありがとうございました。